▲闘牛場の入口
こんにちは。いい旅の黒崎です。スペインのグラナダで闘牛場を見学してきた時の様子をご紹介します。
今回は闘牛を見ていませんが、説明を受けたところ、想像と違う点がいくつもありました。
闘牛用の牛は気性の荒い種で、闘牛だけのために育てられるそうです。闘牛を行えば牛は必ず殺されることになりますが、気性の荒さ以外にこれといった取り得のないこの種は、闘牛がなかったら絶滅していた、という逆説的な話もあるようです。どちらがいいのでしょうね。
▲闘牛場に入ってみる
闘牛の手順
闘牛士が振る赤いマントについては、「牛は赤い色を見ると興奮して突っ込む」と聞いて信じていました。
でも、実は違うそうです。
牛にはあまり色の区別がついておらず、動くものに反応しているだけなので、赤でも青でも大差ないそうです。
それに、草食動物である牛の目は、敵を警戒するため顔の左右についていて、正面はあまりはっきり見えません。
そのため、闘牛士に到達する直前で視界の端にヒラヒラ動くものが入ると、ついそちらに動いてしまうのだそうです。
さらに、牛と闘牛士は一対一で闘うと思っていましたが、これも違うそうです。
正しい闘牛の手順は、次の通りです。
闘牛士の助手が出てきて、何度か牛を突進させて牛の品定めを行う。
ピカドール(防具をつけた馬に乗ってヤリを持った人)が出てきて牛の首根っこを刺し、筋と腱を断ちきって頭を振り上げられなくする(牛の攻撃力を下げる)。
牛が弱ったところにバンデリーリョと呼ばれる人が出てきて、背中に銛を打ち込んで活を入れる。
最後にマタドール(闘牛士)が出てきて、赤い布と剣で闘う。
うまく牛の肩甲骨の間から心臓をひと突きにすれば、苦しまずに絶命して大成功となるそうです。
これを何度も行うため、一日の闘牛で数頭が殺されることになります。殺した牛は一応専用のレストランで食用にされますが、筋張っていておいしくないそうです。
残酷だからやめるべきだというのも分かる気がしますが、闘牛はスペインの国技なのでなかなかそうもいかないようです。
バックヤードも見学
実際の闘牛は見ませんでしたが、闘牛士の控室やお祈り部屋、怪我した時に担ぎ込まれる救護室を見られました。尻を刺されることが多いせいか、救護室のベッドはお尻の部分が空いていました。
設備が古いようで、寝かされたらかなり冷たそうで、何だか痛そうなベッドでした。
▲お尻の部分が空いたベッド
スペインでも闘牛の継続については議論があるようで、年配の人は見るが、若い人はあまり見ないと言います。
ちなみに、お隣ポルトガルの闘牛は様子が違うそうです。牛の角は丸められ、人は武器を持たず、数名がかりで牛と闘って、牛を押さえつけたら勝ちというルールです。
どちらも見ていないので何とも言えませんが、こちらの方が気楽に楽しめそうな気もします。
マタドールが祈りを捧げる場所などを見ていると、闘牛場は神聖な場所なのだろうと思えますが、我々が入って好きに歩き回っているところからすると、案外そうでもないのかもしれません。
それに、闘牛場を出る時に見ると、最近この場所でモトクロスのレースが行われていたようで、そのポスターが貼られていました。やはりさほど神経をつかっているわけではなさそうです。
この日の夕食は、闘牛場から出てすぐのレストランです。
牛肉料理は出ませんでしたが、壁には大きな闘牛のはく製が飾られていました。
▲鋭い角を持つ闘牛(のはく製)
スペイン在住の人(日本人)に聞くと、「闘牛はまさに戦いで面白い」ということです。
残酷な催しだという評価もありますが、怖いもの見たさもあり、やっぱり少し気になるのでした。