なんとも刺激的なぶっとび聖地、バラナシ(ベナレス)・タウン
▲混沌とした聖地、バラナシの街へ
ヒンドゥー教最大の聖地、バラナシ(ベナレス)
ベナレス(バラナシ)は、ヒンドゥー教八大聖地のひとつで、ヒンドゥー教最大の聖地でもあります。
英語表記でベナレス(BENARES)、ヒンドゥー語表記でバラナシ(VARANASI)なのですが、より現地語に近い表記で、ワーラーナシーやヴァラーナスィーなどと表記されることもあります。
その歴史は非常に古く、紀元前6世紀のインド最大の叙事詩『マハーバラタ』にも登場します。
この神聖な土地は、多くの作家やアーティストにも多大な影響を与えてきました。三島由紀夫の「豊饒の海」、遠藤周作の「深い河」、沢木耕太郎の「深夜特急」をはじめ、多くの作品に登場して衝撃を与え、現在も多くの旅行者たちの憧れの地となっています。
バラナシへの行き方?
▲バラナシへは夜行列車を利用するツアーが多い
バラナシは、首都デリーから南東に約820km、東部最大の都市コルカタから北西に約700kmの場所に位置し、両都市を結ぶ幹線鉄道のほぼ中間地点に位置します。ツアーでの交通機関は、インド国内線か、または夜行列車であることが多いです。
聖なるガンジスに寄り添う、無数の寺院
▲ガンジス河に降りられるように階段状に整備されたガートと、その上にある寺院
そして、バラナシ(ベナレス)といえば、ガンジス河(ガンガー)!聖なるガンガーを中心に広がるバラナシの市内には、大小1500近いヒンドゥー教寺院があります。
インド各地から、年間100万人を超える巡礼者や参拝客が、この聖地を訪れ、ガンジス河の南北約6kmに渡って伸びる河岸のガート(階段状の防波堤)で身を清め、市内の寺院に参拝します。
このガートも、500kmの間に、大小合わせて70以上もあります。
ガート沿いには寺院や巡礼者・参拝客用のゲストハウス、民家が所狭しと立ち並び、バスや車では中に入って行けないほど混沌としていますが、このあたりの散策も、バラナシ観光のポイントとなっています。
大いなる火葬場と、死を待つ人々
▲ガンジス河にある火葬場には大量の薪が用意され、常に炎が燃えている
バラナシは、別名「大いなる火葬場」とも呼ばれています。
ガンジス河のガートには、火葬場が2カ所あり、特に街の中心に近く、数千年の歴史を誇る「マニカルカ(宝石の耳飾りの意)・ガート」では、24時間火葬の煙が途絶えることはありません。
インド各地から多い日は100体近い遺体が金銀のあでやかな布にくるまれ、この地に運び込まれてきます。
また、インド中からこの地に集まり、ひたすら死を待つ人々もいます。
彼らはムクティ・バワン(解脱の館)という施設で死を待ちます。
ここでは24時間絶えることなくヒンズー教の神々の名が唱えられます。
死に向かう人が、天に召される時に不安のないようにとの、ヒンドゥー教独特の配慮によるものです。
最後の沐浴と川原での火葬で、ガンジスに還る
▲夕闇の火葬場。積まれた薪に遺体が乗せられ、荼毘に付されていく
マニカルカ・ガートに運ばれてきた死者は、まずシヴァ神を祀るターラケシュワル寺院のリンガのそばに安置されます。
死者の耳にシヴァ神のターラカ・マントラ(救済の真言)を囁くことで、生前いかなる罪を犯した者でも解脱(げだつ)出来ると言われています。
全てのヒンドゥー教徒にとって、「この地」で荼毘にふされることこそが最高の栄誉と憧れなのです。
死者がガンジス川の水に浸され、火葬の薪の上に乗せられると、喪主が火を付けます。
荼毘に付された後の遺骨は火葬場の仕事をするカーストの人たちによってガンジス川に流されます。
子供、妊婦、他殺され志半ばで亡くなった人、出家遊行者などは荼毘に付されず、石の重しをつけてガンジス河の深みに沈められます。
あなたもバラナシ・ショックを体験!
自分の価値観が根本から覆るようなショックを、ここバラナシで多くの旅人が体験するといわれます。
それは単にバラナシの街並みや風土が、我々が日頃体験しているものとは違うという些細なことではないようです。
生と死がこれほど近い場所は、地球上のどこを探してもないのではないでしょうか。
「生と死」が隣り合わせの聖地・バラナシ。それをぜひ体感しに出かけませんか?
→バラナシとガンジス河についてもっと知りたい方は「インド旅行体験記」へどうぞ