▲クロアチアマグロの生簀
クロアチアは、マグロの一大産地
「クロアチアのマグロ」といっても、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、実はクロアチアはマグロの一大産地です。
クロアチア沿岸部のザダルという街から、フェリーに乗って30分ほどの島に「カリ・ツナ」という養殖場があり、世界のマグロ養殖の6分の1にもあたる、大量のマグロを育てています。
今回はクロアチアの視察ツアーで「カリ・ツナ」へ行き、近年人気の高まるアドリア海のマグロ養殖場を見てきました。
「地中海マグロ」もしくは「クロアチアマグロ」として、年間2000トンも日本に輸入されているそうで、青く美しいアドリア海で育ったクロマグロはおいしそうです。
マグロにありつけるかどうか、この時点では分かっていなかったのですが、クロアチア人のホスピタリティーに期待して行ってみます。
視察ツアーで、マグロ養殖場「カリ・ツナ」へ
▲マグロ養殖場 カリ・ツナへ渡るフェリー
▲フェリーのラウンジ
早朝ホテルを出発し、港からバスごとフェリーに乗り込みました。
島で働く人たちに混ざって、コーヒーを飲み、サンドウィッチなどを食べていたら、あっという間に着いてしまったので、またバスに乗り込んで施設に向かいました。
早朝の港でしばらく待って、今度はマグロ漁船に乗り込みます。
養殖とはいっても、小さなマグロを周辺の海で捕えて、沖にある生簀で数年育てるのだそうです。
▲マグロ養殖場 カリ・ツナの夜明け
▲カリ・ツナのマグロ漁船に乗り込む
クロアチアマグロの切り身が登場
生簀に着く前に、船のスタッフが早々にマグロの切り身を取り出すと、参加者の目が輝きました。
どうやら、クロアチアマグロにありつけるようです。
船員さんは、冷凍庫から出しておいたマグロの柵を積み上げ、ハムかスパムでも切るように、大きな包丁で押し切りにしていきます。
▲マグロをカットする船員さん
▲船員さんのカットしたマグロ
マグロの刺身づくりをお手伝い
その様子を見ると、参加者の口から「せっかくのマグロなのに…」という声が聞こえて、折しも前日、以前料理屋で働いていたことを話していたため、「何とかしてくれないか」「あなたもできるのよね」と私にお声がかかりました。
見ればマグロの柵はたくさんあるようですし、スタッフに声をかけて手伝うことにしました。
ただ、包丁は2本あって良かったのですが、まるで刃がついておらずちっとも切れません(手に当てても痛くない)。
これでは確かに、マグロが凍っているうちに無理矢理切ることしかできません。
でも意外なことに砥石があったので、出来るだけ包丁を研いでから、マグロに取りかかりました。
▲クロアチアのマグロを刺身に(手前が私)
船員「凍ってるから広げて盛った方がいいよ」
私「そうだね。でもこれが日本の刺身なんだよ」
船員「ふーん。じゃあ俺もちょっと重ねてみようかな」
私「ていうか、包丁全然切れないね」
船員「砥石ならあるよ。使う?」
そんなやりとりをしながら、二人がかりで大量の刺身をつくっていきました。
包丁を砥いで少しマシになったものの、刺身の出来としてはいまいちですが、皆さんが喜んでくれたのでよしとしました。
▲これがクロアチアのクロマグロ(の刺身)!
生簀でマグロの餌やり
マグロを刺身にしている間に、船は生簀に到着していたので船のデッキに出てみると、穏やかな海に大きな生簀がいくつもありました。
餌はイワシで、以前は機械で自動的に餌をやっていたそうですが、こうしてスタッフがマグロの調子を見ながらあげる方が、マグロの育ちがよいそうです。
生簀は大きなものだと直径50mほどあり、深さも相当あって数は20個以上あります。早朝なのでマグロの姿はあまり見えませんでしたが、餌に食いつく様子はよく分かりました。陽が高く昇れば光線が上から入るため、もっとよく見えるそうです。
1年ほどで出荷する養殖場も多い中、カリ・ツナではマグロの稚魚を2~3年育て、立派なクロマグロに育ててから出荷するそうです。
▲マグロの生簀に餌やり(やらせてもらえる)
マグロ大パーティー in クロアチア!
こうして育てられたクロアチアのマグロは脂の乗り方がよく、それでいてしつこくなく美味だといいます。
期待に胸を膨らませていると、スタッフが大きな箱を開け、大量のビールやワインを出してきてくれました。
さらに船員が、コレがいるんだろ?と言って醤油とワサビを出してきてくれました。
参加者からは歓声が上がり、一気に盛り上がりました。
▲これがクロアチアンホスピタリティー!
まだ朝早いにも関わらず、ここからは大パーティーの始まりです。
視察の参加者は30人近いので、船の中でも外でも、マグロを肴に盛り上がります。
クロアチアのマグロは、身と脂がほどよく混ざり合い、全然しつこくなくて大変美味でした。
自分で刺身にしたので、赤見、中トロ、大トロを分けておき、大トロを参加者に配ってまわるとさらに盛り上がり、皆お酒を飲みながらお腹一杯になるまでクロアチアマグロを堪能したのでした。
▲クロアチアマグロの刺身
餌やりが終わると船は生簀を離れて、寄港するために動き始めました。
大量のクロアチアマグロの刺身とお酒をお供に、朝日に輝く美しいアドリア海をほろ酔い加減で進むのは大変ぜいたくな経験で、できればツアーに組み込みたいと思いました。
船員さんたちは皆フレンドリーで気持ちがよく、船を降りる際には「手伝ってくれてありがとう」と声をかけてくれました。
いやいや、こちらこそ楽しかったです。フヴァラ!(クロアチア語で”ありがとう”の意)
▲ぜいたくな船上マグロパーティー!
刺身以外の、クロアチアマグロを使った料理
クロアチアでもマグロを食べますが、刺身で食べることは少ないようです。
そこで、刺身以外にもクロアチアのマグロを使った料理をご紹介しておきます。
クロアチアで食べた、マグロのステーキ
シベニクのレストランで食べた、クロアチアマグロのステーキです。
クロアチアのマグロは身と脂の混ざり具合がいいのが特徴で、新鮮なマグロの身は火を入れても固くならず、柔かいけれど口の中で弾む食感でした。
たっぷりのサラダにリゾットを添えて出されたこのステーキは、味わい深い上にヘルシーで、大満足の一品でした。
▲クロアチアマグロのステーキ
日本で食べた、クロアチアマグロの料理
ここからは六本木にある「EU食堂」というレストランで食べたものです。
このレストランではEU各国をテーマに毎月イベントを実施しているため、実際にクロアチアのマグロを利用したものです。
刺身はクロアチアで大量に食べたせいかもしれませんが、個人的にはアボカドと和えたタルタルと、ラグーパスタが特においしかったです。
今後のクロアチアマグロ事情
今回視察したカリ・ツナというマグロ養殖場は、この度「ジェイ・トレーディング」という日本の会社がオーナーとなりました。
さらにマグロを増産するそうなので、日本に入ってくるクロアチアマグロの量はさらに増えると思われます。
日本人の食卓からマグロが消えるかもしれないといわれる中で、朗報ですね。
どの料理もおいしかったので、どこかでクロアチアのマグロを見つけたら、ぜひいろいろな食べ方を試してみてください!