【カンチープラム】南インドで有名な、寺院だらけの古都
仏教ともゆかりのある、ヒンドゥー教の聖地
チェンナイから南西に77kmの場所に、ヒンドゥー教七大聖地のひとつ、カンチープラムがあります。
もとは、3-8世紀に南インド東海岸(コロマンデル海岸地方)で栄えたパラッヴァ朝の首都で、当時の繁栄ぶりは素晴らしく、1,000軒以上の寺院が建っていたといいます。
10世紀前後、インド全体が仏教で栄えたころには、たくさんの仏教のお寺もあったようで、達磨(だるま)太子の生地・香至国として、仏典にも登場します。
17世紀のイギリス統治時代になってから、中心はマドラス(現在のチェンナイ)に移り、今では小さな街ですが、ヒンドゥー教の聖地であるため、今でも多くの寺院があり巡礼者が絶えません。
特徴的なヒンドゥー寺院をご紹介
▲エーカンバラナタール寺院
最も大きなエーカンバラナタール寺院
カンチープラムの街は、シヴァ派の寺院地区とビシュヌ派の寺院地区に分かれ、最も有名な寺院は、シヴァ派のエーカンバラナタール寺院です。
カンチープラムでも最大の寺院で、高さ60mの巨大な白いゴープラム(塔門)が目を引きます。
寺院内部の回廊も天井が高く、無数の石柱が林立し、厳かな雰囲気を醸し出しています。
その石柱の数は、500本とも1,000本ともいわれ、精巧な彫刻が掘られています。
シヴァ寺院だけに本堂は、もちろんシヴァリンガで、本堂の奥には、神聖なマンゴーの木があります。
今では何代目かわからない小さな木ですが、オリジナルは3,500年前とのこと。
このマンゴーの木の下で、シヴァ神とパールヴァティが結婚したという伝説があります。
このマンゴーの木からは、4つの異なる味のマンゴーが実ると言われ、多くのヒンドゥー教巡礼者で毎日賑わいをみせています。
▲エーカンバラナタール寺院の内部。無数の柱が特徴的
▲カイラサナータ寺院
美しい彫刻を持つ、カイラサナータ寺院
もう一つの有名な寺院が、カイラサナータ寺院(こちらもシヴァ派)です。
名前の通り、シヴァ神が住むヒマラヤのカイラス山を模した寺院です。
その精巧な彫刻と堂々たる佇まい、周りの緑の芝生とのコントラストで、カンチープラムで最も美しい寺院といわれています。
ここもシヴァ寺院だけに本堂にはシヴァリンガが祀られています。
本堂を囲む回廊は天井はなく青空回廊。外壁には50以上の小さな祠堂があり、漆喰で彩られた跡もあります。
内部の彫刻は本当に美しく、見ごたえ十分です。
▲カイラサナータ寺院
シルクの織物でも有名
カンチープラムはシルク織物でも有名で、街中にはたくさんのシルク工房があります。
インドのシルクといえば、バラナシが有名ですが、ここカンチープラムのシルクも同じくらい有名です。
どちらも聖地だけに、昔から巡礼前に身なりを整えるために、着物の仕立て屋(シルク織物屋)が発展したのでしょう。
訪れた際には、サリーやパンジャビドレス、スカーフなどを探してみるのもいいでしょう。
チェンナイからカンチープラムは近いので、日帰りができますが、十分時間をとってゆっくり観光するのがおすすめです。